大分産業保健サービス TKD株式会社

NEWS&TOPICS

2025.01.09
コラム

今季のインフルエンザ流行

あけましておめでとうございます!
新年1発目のコラムです。
今年もよろしくお願いいたします。

さて今回は現在大流行中のインフルエンザについてお知らせです。
現在の流行状況、例年のインフルエンザとの違い、対処方法の順番でお話させて頂きます。

 

①流行状況


まず流行状況ですが、全国的に例年よりも感染が大きく拡大しております。
この年末年始のお休み中もあまりの受診者数に救急外来はパンク状態でした。
ニュースでもこの感染拡大速度は、過去最速で過去最強と報道されています。
実は今季のインフルエンザ、通常の季節性のものとは異なり感染力が非常に強いんです。
皆さんは2009年に世界中で大流行したインフルエンザH1N1型を覚えておいでですか?
メキシコでブタからの感染が確認され、世界70か国へ瞬く間に広まり、WHOからも警戒水準最高レベルのパンデミックが宣言された型です。
現在流行っているインフルエンザの型もこのH1N1型で、最近ではインフルエンザpdm09型と呼ばれています。

 

②季節性インフルエンザとの違い


まず一番の違いは上述のとおり感染力の違いです。
今季のpdm09型の方が圧倒的に感染力が高いですね。
次に症状ですが、今季のpdm09型の方は感染初期から高熱や関節痛、目の奥が痛くなるタイプの頭痛などとやや特徴的です。
しかし、重症化率ではほとんど差がなく、むしろ従来型の方が炎症反応が上昇しやすいといった研究結果もあります↓
「インフルエンザAH1N1pdm09と季節性インフルエンザA型間における顆粒球及びリンパ球の動態比較」日本感染症学雑誌第88巻第1号

 

③対処法


やはり予防です!
手洗い、うがい、手指消毒、体調不良時や人混みでのマスク着用を徹底しましょう。
次はSelf Medicationです。
Self Medicationとは、簡単に言うと「軽度な体の不調は自身で対応する」という意味です。
症状が重たくなければ、市販薬の内服、水分栄養補給、安静で大抵の風邪や不調は自然治癒しますので抗生剤や抗ウイルス薬は必ずしも必要ではありません。
発症後12時間以内だとインフルエンザの抗原検査結果が不正確になりやすいので、いきなり夜間救急へ行くのではなく、まず自身で対応可能な範疇の症状か観察し、水分補給や栄養補給、市販薬の使用で体力の低下や症状の悪化を防ぎましょう。
急いで夜間救急を受診しても横になれずかなりの長い時間待たされる上に内科専門医の診察を受けられるとは限りません。
また、待合室で他の患者さんから新たに感染する可能性もあり、受診に要する時間と労力が大変もったいないです。
普段から市販の解熱薬や感冒薬、経口補水液やゼリーなどを備蓄しておき、体調不良時は市販薬の使用、水分栄養補給、安静から試してみましょう。
社内ルールなどで体調不良時の受診や診断が必須である場合は、こういった水分栄養補給などで間を持たせ、発症後12時間経過してから内科クリニックの受診をお勧めします。

 

市販薬の効かない症状、意識障害、経口摂取しても吐いてしまうなどの症状がある場合は、輸液による脱水補正や詳しい検査が必要な状態ですので速やかに医療機関を受診してください。
高齢者は、通常の成人よりも水分貯蔵量が少なく、発熱するとすぐに脱水になり体動困難となってしまうので、内服できない、水分補給をしてくれない、内服しても症状改善が見られないなどの所見があればすぐに医療機関を受診しましょう(通常の成人よりも受診のしきい低めで構いません)
小児は、本人が症状をうまく表現できなかったり、重症化しやすかったりと医学的介入の必要性が受診しないとわからない場合がほとんどですので、どんな症状でも速やかに医療機関を受診しましょう。