大分産業保健サービス TKD株式会社

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2026.06.18
コラム

暑熱順化 ~暑さに慣れた体づくり~


 全国的に梅雨入りしジメジメした季節になってきましたね。
湿度が高くなるこの時期は例年熱中症が発生し始めます。
今回は熱中症になりにくい体を作る「暑熱順化」の方法をご紹介いたします。
以下の順番でお話します。

  • 〇まだ6月なのになぜ熱中症対策なのか?
  • 〇暑熱順化とは?
  • 〇暑熱順化するためには?
  • 〇まとめ


〇まだ6月なのになぜ熱中症対策なのか?

「熱中症対策なんて本格的に暑くなる7月からでいいんじゃ?」とお思いの方もおられるかもしれません。
ですが実際の救急現場では、すでに熱中症患者の搬送が増え始めており、個人でできる対策もすでに始めた方が良い段階に来ています。
ではなぜまだ6月なのに熱中症が出始めているのでしょうか?
これは気温よりも湿度の高さが大きな要因と挙げられます。
 人間は暑さを感じると体温を下げるための機構が働きます。その1つが発汗です。
汗をかき、その汗が蒸発(気化)する際に一緒に熱も大気へ逃がすことで体温を調節するのですが、下図下段のように湿度が高く空気中に水分が多い場合、この汗が気化しにくくなります

 よって、体温を下げることができず熱中症を発症しやすくなるというわけです。

〇暑熱順化とは?

 この時期から個人でできる熱中症対策として挙げられるのが暑熱順化です。
暑熱順化とは、簡単に言えば体が暑さになれることですが、労働衛生領域では「体温調節がしやすい体づくり」といったもう少し踏み込んだ言い換えになります。
人間の体温を下げる機構は大きく分けて以下の2つあります。

 1つ目は気化冷却です。前述の発汗ですね。

汗をかくことで、その汗が気化する際に熱も一緒に大気に持っていってもらうことを指します。

 2つ目は放射冷却です。

 人間は暑さを感じると心拍数が上がり、体表の血管が拡張します。そうやって熱を帯びた血液を皮膚表面へ送り込むことで、熱を逃がしているんです。
暑さを感じると顔や皮膚が赤くなりますよね?
これは放射冷却の作用だったんです。

 この気化冷却と放射冷却をやりなれた体温調節のしやすい体づくりを進めましょうというのが労働衛生における暑熱順化となります。

Q.湿度が高くて汗が気化しにくいなら、汗をかきやすくしても無駄なんじゃ?

 先日弊社クライアントの社員様よりこういったご質問を頂きました。
非常に鋭いご指摘ですよね。
質問への回答ですが、湿度が高くても汗をかくことは体温調節に有用です。
その理由は汗の質にあります。

 暑熱順化していない人の汗は、塩分が多く含まれベタッとしていることが多いです。
塩分が多く喪失してしまってることも問題ですが、ベタッとした汗は蒸発しにくく、気化せずにポタポタと流れ落ちてしまうため気化しにくいんです。
しかし、暑熱順化が進むと、体に必要な塩分を再吸収できるようになるため、汗は水に近いサラサラとした状態へ変化していきます。
湿度が高くてもサラサラとした汗であれば自然の風や扇風機などのちょっとした気流で気化していってくれやすくなるんです。
 つまり、効率の良い気化冷却のためにも暑熱順化が必要になってくるわけです。

〇暑熱順化するためには?

 暑熱順化の方法ですが、これは運動入浴がおすすめです。
まず運動ですが、屋内でも屋外でもよいです。

 運動の種類ですが、自重トレーニング、ウェイトトレーニングなどの無酸素運動、ジョギング、水泳などの有酸素運動のどちらでも構いません。
汗をかくまで続けることが大変重要なポイントになります。
こまめな水分補給や発汗が見られるまでは控えめなエアコン設定にするといった点を心がけましょう。

 次に入浴ですが、週に2~3回湯船に浸かることをお勧めします。

 お湯につかると体温が上昇するため、気化冷却、放射冷却の両方が機能し、暑熱順化が進みます。
暑くなってくるとお湯に浸かる気がなかなかしてこないのはよくわかりますが、運動より手軽なのでぜひお試しください。
銭湯や温泉のサウナを利用するのもおすすめですが、こちらは十分な水分補給を行ってから利用しましょう。
サウナから出てすぐに水風呂に飛び込む方もおられますが、冷たい水により末梢血管が急激に狭まることで心臓へすさまじい負担がかかり大変危険ですので控えましょう。

〇まとめ

 熱中症は「なってからの対処」よりも「いかに予防していくか」の方が重要です。
暑熱順化は通常2~3週間ほどかかりますので、本格的に暑くなる前に、運動や入浴で体温調節のしやすい体づくりを進め、熱中症にならないよう先手を打ちましょう。